エンゲージメントとは、個人の組織に対する愛着や思い入れなどを表すときに使われる言葉です。物やサービスを提供する企業と、お金を払ってそれを受け取る顧客とのエンゲージメントが強力であれば、それだけ信頼関係を高めることができます。
ここでは、エンゲージメントについての基礎知識と、エンゲージメントを高める方法についてご紹介します。
エンゲージメントとは?
「エンゲージリング」を「婚約指輪」と訳すことからわかるように、engagementという単語は「約束」や「契約」という意味を持ち、それぞれが相手にどれほどの興味や愛着を持っているかを表現するときに使われます。
ここ数年、SNSなどでもよく目するようになったこの言葉は、企業と従業員、または物やサービスを販売する会社とお金を払ってそれを受け取る消費者との関係など、さまざまな場面で用いられます。ですから、この言葉が使われる意味合いを考えると、人と人、あるいは人と組織の「つながり」「結び付き」のほうが、より実際の感覚に近いかもしれません。
顧客とのエンゲージメントが結果に表れる
マーケティング領域で重要になるのは、自社と顧客あるいは消費者とのエンゲージメントです。顧客が、使用している商品やその取扱会社にあまり愛着がなく、興味も強くない場合は、エンゲージメントが弱い状態です。このような状態では、ちょっとしたきっかけで競合他社に乗り換えられてしまう危険が高まります。反対に、エンゲージメントが強ければ、少々至らないところがあったとしても「あの会社の、この商品を使いたい」という強力なモチベーションが働くでしょう。
つまり、企業にとってエンゲージメントの高い顧客は、自社や自社商品の熱烈なファンだというわけです。エンゲージメントの強い顧客が増えていけば、それは売上結果に表れてくるでしょう。
なお、マーケティングの世界では、顧客エンゲージメントという言い方をするため、顧客満足度という意味にとらえている方もいます。しかし、顧客満足度は商品やサービスに対する評価が軸になることに対し、エンゲージメントはあくまでも自社と顧客との信頼関係や愛着を指します。ですから、エンゲージメントと顧客満足度は似て非なるものといえるのです。
SNSで指標とされるエンゲージメント
SNSの分野では、このエンゲージメントが具体的な数値指標として使われています。近年では、TwitterやFacebookなどのSNSサービスをマーケティングに積極活用している企業が増えています。これらSNSサービスでは、リツイートやシェアなど、ユーザーのアクションを記録することができますので、その数値から「エンゲージメント率」を割り出し、投稿に対してユーザーがどれほどの興味や関心を持っているかを指標とするのです。
エンゲージメント率はTwitter・Facebookそれぞれ、以下の計算式で算出されます。各数値はTwitterもFacebookも、管理画面で確認することができますので、一度計算してみるといいでしょう。
■Twitterにおけるエンゲージメントの計算式
ユーザーのアクション(クリック・リツイート・返信・フォロー・いいね!)の総数÷ツイートが表示された総数
■Facebookにおけるエンゲージメントの計算式
アクション(いいね!・コメント・シェア・クリックしたユーザー数)÷投稿を見たユニークユーザー数
エンゲージメントを高めるためには?
顧客とのエンゲージメントをより強固にしていくためには、さまざまな施策が考えられます。前項でお話ししたSNSのエンゲージメント率についていえば、投稿のテーマ、回数、時間帯、投稿頻度、文章量など、さまざまな要素がからみ合って変化していきますので、簡単にできることではありません。
そこで、まずはターゲット層により近い人物像を考え、趣味・嗜好や行動パターンを設定します。これは、「ペルソナ」と呼ばれており、このペルソナの趣味・嗜好に合わせて投稿をしていきます。あとは、テーマや文字数などの条件を少しずつ変えながら顧客の反応をデータ化し、蓄積されたデータを反映した投稿を繰り返して、精度を高めていくのです。
リアルな営業シーンでは、ユーザー行動のプロセス化を行います。まずは自社の商品やサービスを知ってもらう。そして、商品やサービスを使うことで、どのようなメリットが生まれるかを理解してもらう。さらに、試供品などで「実際に使う」というプロセスを加えることもあるでしょう。
このように、顧客とさまざまな接点を持つことが、エンゲージメントを高めるポイントとなります。
エンゲージメントは「維持し続けること」が大切
エンゲージメントは、企業にとって顧客との信頼関係と言い換えることもできます。その構築には地道な努力が必要ですし、構築した後も維持し続けることが重要です。しかも、せっかく構築したエンゲージメントでも、何らかの問題があれば一瞬にして失ってしまう可能性があるのです。そのことを理解し、エンゲージメントを強く保ち続けることを常に考えて行動することが大切でしょう。