
SMS(ショートメッセージサービス)は、その利便性や高い到達率から最近では個人間でのやりとりだけでなく、ビジネスシーンでも活用される機会が増えています。
その多くは顧客への通知や手続きを行う専用WEBページへの誘導です。
SMSはテキストだけが送れるサービスですのでWEBページへの誘導を行う際、そのページのURLを送るのですが、そのURLのクリック数(アクセス数)のクリック率は効果を確認するためにもっとも重要な指標です。
本稿では、SMSで送ったURLのクリック率を高めるための具体策を、データや事例をもとに解説します。
クリック数が重要視される理由
Webマーケティングの成果において「どこから、どれだけ誘導できたか」がSMS配信でも変わらず重要ですので、メールなどと同様にURLのクリック率の把握は必須。
得られた数字を分析し、その結果からPDCAを回し、狙った成果(販売・集客・情報提供)へつなげていきましょう。
SMSのURLはメールの数倍クリックされる
SMSとよく比較される案内方法としてメールがあります。
当然ですが対象リストや案内する内容に応じてに違いはでますが、SMSで送ったURLクリック率はメールの数倍になるケースが多く、メールと比べてみてもらいやすいメッセージツールだと言えます。

参考
株式会社ラクス「業界別メルマガの開封率とクリック率の目安って?効果測定の正しい方法とは」
なぜSMSのクリック率はメールと比較して高いのか?
メールと比較して、SMSのクリック率が高い理由は以下のような特長があると言われています。
視認性が高く目に止まりやすい
SMSが携帯やスマートフォンに届くとポップアップ表示などで即通知され、自動的に携帯電話の画面に表示されます。
他の案内に埋もれにくい
SMSはメールと比べて受信する件数が少なく、他の案内に埋もれにくい環境あるのも読まれやすい理由になっています。
「重要連絡」としての印象
携帯キャリアからの支払い通知やWebサービスへログインする際の二段階認証など、SMSは「重要な通知」によく使われています。
そのため、SMSは「見逃せない連絡が届くツール」という認識が定着しています。
迷惑SMSの増加によるクリック数への影響
メールなどと比べて見てもらえる確率が高いSMSですが、最近は迷惑SMS(フィッシングや偽装SMS)の被害が増えています。
そのためユーザー側は知らない発信番号や不自然なURLのクリックを控える傾向にあります。
企業からSMSを送る際は「誰から」「何のために」送っているのかを明確にする必要があります。
SMSのクリック率を高めるポイント
SMSで送ったURLのクリック率を向上させるには、SMSを受信した人の立場になって考えることが重要です。
具体的には、以下のポイントを抑えておきましょう。
発信元番号の設定
SMSを受信受信した人はまず「誰から送られてきたのか」を確認します。
発信者番号の表示は以下ようなものがあります。
① 電話番号表示
「03XXXXXXXX」や「0120XXXXXXX」のような10~11桁の番号
② 共通利用番号
「0005」から始まる最大10桁の数字
③ アルファベット
「TELENET」のようなアルファベットを含む文字列
④ 端末の電話帳に登録されている名称
①、②の番号を電話帳に登録している場合
個人間のSMSでは①(もしくは④)となりますが、SMS一斉送信サービスを利用した場合は①~③のいずれかで送られてきます。
企業からSMSを送ることの情報開示が重要
SMSの受信者が、知らない番号から届いたメッセージやURLを警戒するのは当然です。
とくに昨今はフィッシングSMSやなりすましの被害が多発しているため、企業からの正しいSMSであっても、不信感を持たれてしまうことがあります。
また、知らない電話番号からSMSが届いた受信者は、発信者番号をWebで検索して「どこから来たSMSなのか」を調べます。
そのため、SMSを送信する前に企業の公式HPなどで「SMSを使った連絡を行っていること」をあらかじめ公開・開示しておくことが非常に重要です。
●SMS送信情報開示の表記例
・SMSで連絡する可能性があること(どのような案内をSMSで行うのか)
「当社では、契約更新やキャンペーンのご案内をSMSでお送りする場合があります」
・SMS送信に使用する電話番号の明記
「当社からのSMSは以下の番号から送信されます:03-XXXX-YYYY」
独自ドメインで自社のURLを表示
SMSは短いメッセージをテキストで送るため、あまり長いURLは送りにくいのが現状です。そのため企業がURLを送るときは「SMS一斉送信サービス」の「短縮URL機能」を使用して送るのが一般的です。しかし、短縮され送信するURLはサービス提供会社のものであることが多く、企業が運営しているWEBページのURLとは違うものになります。受信者を混乱させてしまう可能性があります。
そこでサービス提供会社がオプションで提供している「独自ドメイン機能」を使うことで、ブランド認知と信頼性を向上させ、クリック率アップに寄与することができます。先述の発信者番号と独自ドメインの併用で、受信者に信頼してもらえるSMSの送信が可能になります。

独自ドメインを活用したことで、クリック率を2倍まで増加できた事例もあります。
業種 :大手保険会社様
内容 :保険契約の満期を迎えたお客様に向けて、再セールスのご案内
クリック率:(活用前)10%→(活用後)20%
SMSの送信を始めた直後は、SMS送信サービスを提供している会社の短縮URLを使用していましたが、独自ドメインで自社のURLを表示させることにより、受信者の安心感と信頼性が高まり、URLをクリックする心理的ハードルが下がったことがクリック率の倍増に繋がりました。
送信する内容やタイミングを吟味する
SMSで送るURLのクリック率を高めるには、ただ遷移先のURLを送るのではなく、「受信者が開きたくなる内容かどうか」を意識することが大切です。
文字数が限られる中で、伝えたいことを端的にまとめ、パーソナライズされた呼びかけや、限定性・緊急性のある表現などを工夫すると、クリックを促しやすくなります。
また、送信時間も重要です。午前11時や午後5時~7時など、受信者が比較的スマートフォンを確認しやすい時間帯を選びましょう。
また、送信頻度が多すぎると受信者に迷惑がかかります。必要なタイミングに、必要なものだけ送信することが、顧客との良い関係を築くポイントです。
まとめ|「顧客接点」を通知で構築しよう
SMSのクリック率は、Webページへの誘導効果を測るうえで非常に重要な指標です。
クリック率を最大化するためには、まず受信者に「信頼されるSMS」であることが求められます。
受信者の立場に立ち、信頼を築く工夫を積み重ねることで、数あるチャネルの中でも高い成果を発揮する有力な手段になります。
届けたい情報を確実に、そして効果的に伝えるため、今回ご紹介したポイントを活用し、より成果の上がるSMSへとつなげていただければ幸いです。