書類の入力作業が自動化できる「OCR」は、業務の効率化に非常に効果的だと言われています。今回は、そんなOCRの基礎知識から、最近注目を浴びている「AI OCR」の特長や活用方法までをお伝えいたします。
目次
OCRの基礎知識
そもそも「OCR」って何のこと?
OCRとは、「光学文字認識(Optical Character Recognition)」の略語。印刷された文字を機械で読み取り、コンピュータが処理できるテキストなどのデータに変換する技術、装置のことを指します。バーコードやQRなどの読み取りはOMR(Optical Mark Recognition)と呼ばれ、似たような技術ではありますが、ここでは区別します。
OCRの歴史は100年以上
OCRの歴史は意外と古く、原理は1900年代初頭から研究が始まり、1928年に数字が、1929年には文字とアルファベット読み取れる技術がアメリカで開発され、特許が出願されました。国内では1968年に東芝が国産として初めて開発。はがきに書かれた郵便番号の読み取り、仕分けを行うOCRとして製品化されました。
インターネットの普及に伴い、OCRもオンライン化
2010年代に入ると、インターネットの高速化とクラウドサービスの普及により処理がオンラインで行えるように。スマートフォンやタブレットのカメラを利用するOCRアプリなども登場するなど、中小企業や個人でも使いやすい環境が整ってきています。また、2017年頃からのAIブームにより、文字やフィールドの認識にAIを活用したサービスも登場。最近ではOCRの文字認識にAI技術を活用し、認識率を向上させたAI OCRも注目されています。
OCRの主なメリット
OCRの活用は、主に以下のようなメリットがあります。
データ入力業務の軽減・効率化が可能に
アンケート用紙や注文書、見積依頼書など、大量の紙を受け取って、手作業でデータ化するには多くの人員と時間がかかります。その作業を人間が行った場合、生産性や入力精度は業務が忙しくなるにつれ落ちていきます。その入力業務にOCRを使えば、高速かつ一定のクオリティで書類をデータ化できます。
紙文書の保管スペースの縮小が可能に
入力が終わった書類がいつでも確認できるように、ファイリングしてキャビネットに並べていませんか? 書類をOCRにかけデジタル化しておけば、書類の確認はパソコン上で行えるようになります。見積書や契約書、請求書、領収書などは、電子帳簿保存法に準拠した処理をしておけば、紙の原本が不要になるものもあります。
過去の資料の再利用・再活用が可能に
書類をOCRでデジタル化しておけば、過去のデータの修正や再利用が容易になります。また、データをデータベース化することによりBIやCRMなどとの相性も非常によくなり、分析や指標の作成などにも使いやすいデータとして活用できるようになります。
OCRのデメリット
ここまで書くと「OCRは万能!」だと思われますが、デメリットももちろんあります。
導入コストがかかる
現状OCRの導入には、まだまだ安いとは言えないコストがかかります。そのため、ある程度以上の処理量がないとコスト削減に繋がらない場合があります。
読み取り精度は100%にはならない
効果を出すために高価なOCRソフトを購入しても、文字の認識率は100%にはなりません。紙やインク、印刷時の状態、解像度等、様々な条件により、同じフォント、同じ文字の大きさでも差異が発生するため誤認識は必ず発生してしまいます。歪みやかすれを補正する下準備は必ず必要です。
手書き文字に弱い
OCRは読み取った画像を登録しているフォント(文字)パターンから検索する仕組です。そのため個人でのクセが大きく出る「手書きの文字」に弱く、機械印字の書類と比べて精度が大幅に落ちてしまいます。
クラウドAI OCRはOCRのデメリットを解消する
せっかくOCRを検討したけど、先程のデメリットが理由で断念した、という方も多いと思います。そこで最近注目されているのが、画像認識にAIの技術を採用した「AI OCR」です。
比較的安価に使える
AI OCRの多くはクラウド環境でサービスを提供しています。そのため、従来のOCRのような機器は必要なく、比較的低コストで導入することができます。また、利用料金についても基本料金+従量制のサービスが多く、「必要な量を、必要なだけ」といった使い方にも対応できます。
ディープラーニングにより読み取り精度を上げていける
AI OCRは、AIが自動的に深層学習(ディープラーニング)したパターンから、読み取ったデータが「何であるか」を人間の脳のようにシミュレーションして判断します。
従来型のOCRは、文字は文字単位で認識するため、例えば「ロ(ろ)」を読む場合、1文字では「ロ(ろ)」なのか「口(くち)」なのかの判別は困難です。AI OCRは前後の文字の関連性まで認識します。ロが「ロボット」と書かれていればAIが「口(くち)」ではないと判断し、「ロ(ろ)」として出力されます。
学習により手書き文字も読み取れるようになる
前述の通り、AI OCRは「学習するOCR」です。そのため使えば使うほど、その業務においての読み取り精度を高めていくことができます。最初読めなかった手書き文字も、筆跡パターンの読み取りと学習を繰り返すことにより、読めるように成長していきます。
RPAとの親和性が高い
RPA(Robotic Process Automation)との親和性が高いのもAI OCRの特長です。処理作業のうち、操作が決まっている定型作業をロボットに設定しておけば、ミスなく正確に作業を行ってくれます。OCRは原則、決まった範囲の文字を読み取り、テキスト化するという定形作業。ゆえに、RPAと組み合わせることにより、業務効率のさらなるアップが見込めます。
入力処理作業に便利なAI OCR
前述のような「AI OCRの特長をフルに活かせるような業務」にはどのようなものがあるでしょうか。
請求書の入力処理
毎月届く請求書の入力処理。お金が動く業務ですので、入力ミスは許されません。正確かつ高速な入力作業が必要です。
アンケートの入力処理
アンケートの質問項目に書かれた回答を期日までに大量にデータ化する必要があります。人的リソース以上の処理が必要な業務に、AI OCRは効果を発揮します。
FAX注文書の入力処理
取引先から毎日届く、FAX注文書。デジタル化したいものの、取引先との関係上どうしても残ってしまいます。そのFAXに書かれている手書きの注文内容を効率よくデータ化するのにAI OCRは非常に適しています。
FAXと親和性が高いAI OCR
AI OCRは、FAX受信・入力業務と親和性が非常に高いサービスです。
FAXによくある手書き文字の認識が得意なAI OCR
お得意様からの注文。熟練のスタッフなら「このお客さんだから、この内容だろう」という予測のもとに入力できますが、慣れていないスタッフは内容を確認するために電話をする必要が……。AI OCRはそんなクセのある文字も学習することにより読み取れるようになり、電話連絡の手間も軽減できるでしょう。
受信したFAXが逆さま、歪んでいてもAI OCRなら大丈夫
手作業で送信したFAXは、大なり小なり歪みが発生します。そのままOCRにかけようとしても、読み取ることが困難です。また、大量に受信したFAXの中に逆さまなもの、歪んでいるものが混じっていると、業務効率が一気に落ちてしまいます。しかし、多くのAI OCRサービスには補正機能が備わっているので、受信したFAXをそのまま読み込むことができます。
AI OCRによる読み取りにより検索が楽になる
受信して、入力処理が終わったあとファイリングして棚へ、が紙の一般的な保管方法です。ゆえに、過去の内容を確認するためにはそのファイルを探すところから始まります。FAXファイルを電子化しておけば、ファイルを探すという行為がなくなり、パソコン上で検索するだけでOK。AI OCRで読み取った情報を紐付けておくことによる、入力内容と原本を簡単に見合わせることができるようになります。
「FAX受信」に特化したAI OCR「MOVFAX AI」
「MOVFAX AI」はFAX受信からテキスト化までを自動化できる、FAXに特化したAI OCRサービスです。 業務のDX化において障害となりがちな、注文書や請求書といった「帳票FAX」のペーパーレス化、自動化に役立ちます。「MOVFAX AI」の特長は以下のとおりです。
高い識字率を誇る「Tegaki」を採用
「MOVFAX AI」は、Cogent Lab.社の「Tegaki」を読み取りエンジンとして採用しており、99.25%という高い識字率で使うことができます。(※)。
※読み取り内容や環境により読み取り率は変わります。
FAXのペーパーレス化からテキスト化までをすべて自動化
通常のOCRサービスでFAXを取り込むためには、受信後画像ファイルをOCRへ流し込む必要があります。しかし「MOVFAX AI」では、インターネットFAX「MOVFAX」と連携することにより、受信したFAXを自動的にAIOCRへ流し込むことができます。これによりFAX受注の入力業務に関する作業の簡略化が可能です。
スモールスタートが容易
通常のFAX OCRは、受信環境やOCR機器など、導入に高価な費用がかかります。しかし「MOVFAX AI」は、クラウドでFAX OCR環境を提供しているため、初期費用はわずか5万円(税別)。月額基本料金+読み取り数課金で利用できるため、スモールスタートにピッタリ。一部業務を切り出して効果を検証する、という使い方が可能です。
「手作業でやるもの」だと思いがちなFAX業務もDX化しよう!
いかがだったでしょうか。日々進化しているOCRのイメージは変わりましたか? また、「手作業でやるもの」を思われがちなFAX業務も、インターネットFAXとAI OCRを組み合わせて使えば、DX化が可能になります。当社では紙業務のペーパーレス化を、「MOVFAX AI」を中心に提案しております。「ウチはこのように行っているが可能?」という疑問や「そもそもどうしていいのかわからない」というお悩みも、業務のヒアリングから行い最適な解決方法を提案いたします。皆様の業務の効率化、DX化に、ぜひ当社をご活用ください。