
SMS(ショートメッセージ)認証とは?
SMS認証とは、ログインや会員登録、パスワード再設定等を行う際に、ユーザーの携帯電話番号宛にSMS(ショートメッセージサービス)で認証コードを送信し、その数字を認証画面に入力して本人確認を行う仕組みです。
ユーザーが所持している携帯電話番号宛に送るため、パスワードだけで行う認証より安全性が高まり、第三者による不正アクセスやアカウント乗っ取りを防止できます。
近年では多くのWebサービス・アプリで広く導入されており、金融サービスやアプリのインストールなど幅広い場面で利用されています。
SMS認証について詳しく知りたい方はこちらの記事ご覧ください。
ユーザー側(受信者側)のよくある原因と対処法
SMS認証コードが届かないと、ログインができない、会員登録が完了しない、パスワードを再設定できないなど、サービスを利用したい場面で手続きが進みません。
このような認証コードが届かない原因は、企業側(送信側)のシステムトラブルだけでなく、ユーザー側(受信者側)の設定や環境などの問題が考えられます。
ここでは、ユーザー側で発生しやすい主な認証コードが届かない原因と、すぐに試せる対処法をわかりやすく整理して解説します。
電波状況が悪い
電波が弱い場所や電波が届かない場所(圏外)にいると、SMSが受信されないことがあります。例えば、地下や建物の中などは特に電波が不安定になりやすいため、通信が途切れてしまい、認証コードが届かない原因になります。
屋外に移動する、Wi-Fiをオフにして再接続する、携帯電話を再起動するなどで改善されることがあります。
迷惑メールフィルタや拒否設定がされている
携帯電話やキャリアの迷惑メールフィルタによって、認証コード付きのSMSが誤ってブロックされてしまい、受信できないことがあります。ユーザーの携帯電話で特定の番号からの受信拒否が設定されていたり、「迷惑SMSブロック機能」や「URL付きメッセージの制限」といったフィルタが設定されていることが原因で起きてしまうことがあります。
これらの設定が有効になっていると、SMSが本来の受信場所ではなく迷惑フォルダに振り分けられたり、そもそも端末に届かなくなってしまうので、対策として設定を一時的に変更したり、送信元番号の受信拒否設定を解除することで多くの場合は解消できます。
端末の容量不足
端末のストレージ容量に空きがない場合、新しいSMSを受信できなくなることがあります。写真や動画、アプリのデータ容量が増えると、SMSやメールなどを受信できるほどの容量を確保できず、認証コードが届かないといった現象が起こります。
そのため、不要な写真や動画を削除したり、アプリのキャッシュを整理して空き容量を確保することで改善する場合が多く、認証コードが受信できるようになることもあります。
誤った携帯電話番号を入力している
入力した携帯電話番号に誤りがあると、認証コードは端末に届きません。数字の打ち間違いや桁数不足など、わずかな入力ミスでもSMSは届かなくなってしまいます。また、以前に登録していた携帯電話番号をそのまま使ってしまい、古い携帯電話番号宛に認証コードが送られてしまう場合もあります。
認証コードが届かない場合は、再送する前に入力した携帯電話番号が正しいか、現在利用しているものかを確認することで番号の誤りに気づき、解決できることが多いです。
機内モードになっている
機内モードがオンになっていると、モバイル通信が遮断されるため、SMSを受信することができません。知らないうちに誤って機内モードがオンになっている場合もあるので、認証コードが届かないときは、機内モードがオンになっていないかを一度確認し、オフに切り替えることで正常に受信できるようになる場合があります。
企業側(送信者側)の原因と対処法
SMS認証コードが届かない原因は、ユーザー側だけではなく企業側(送信者側)に問題があるケースも考えられます。
ここでは、企業側で発生しやすい原因と対処法をわかりやすく解説します。
SMS送信サービスの遅延・障害
多くの企業はSMS認証に「SMS送信サービス」を導入しています。
企業が導入しているSMS送信サービス側で、システムの負荷や一時的な障害が発生することで、認証コードの送信が遅れたり、届かなくなることがあります。特にアクセスが集中する時間帯や大量配信を行った際には、処理が滞りやすくなることがあります。
対策として、まずは企業側が障害が起きた際は情報をWebやアプリなどで公開し、復旧を待つか再送機能を利用して対応することで、企業側はリスクを軽減できる可能性があります。
受信する端末がSMSが受信できない設定になっている
日本では、迷惑SMSを防止する目的で、受信者側の端末やキャリアにおいてSMSの受信を制限する設定が有効になっている場合があります。
このような設定が有効な場合、システムに問題がなくても、SMSが自動的にブロックされ、ユーザーに届かないことがあります。
とくに、メッセージ内にURLを含むSMSや、内容が機械的・一方的に見えるメッセージは、キャリアの迷惑SMS対策機能や端末のフィルタリング機能によって受信拒否されやすい傾向があります。
そのため企業側の対策としては、URLの使用を控え、ユーザーには拒否設定をあらかじめ解除しておくように告知しておくことをお勧めします。
不正アクセス防止による認証回数制限
セキュリティ強化のため、多く場合は短時間に複数回の認証コード入力や再送要求が行われると、自動的に認証機能がロックされる仕組みになっています。これは第三者による不正ログインを防ぐための対策ですが、正しいユーザーでも連続して操作すると一時的に制限にかかってしまうことがあります。
ユーザーが認証できない場合、こうしたアクセス制限が原因のこともあるため、時間をおいて再試行できるようガイダンスを提示することが、企業側の適切な運用につながります。
国際SMS(海外網)を利用している
SMSを送信する際、海外の通信事業者(海外網)を経由する国際SMSを利用した場合は正常に届かない場合があります。この場合、国内キャリア側で迷惑SMSと判断されやすく、配信規制の対象になったり、遅延や未達が発生しやすくなります。
特に、国際SMSは送信コストが安い反面、品質が安定しないことがあり、通信経路の混雑やフィルタリング強化の影響を受けやすい点が課題です。そのため企業側としては、国内キャリアと直接接続された国内網のSMSを利用することで、到達率の改善や不達リスクの軽減につながります。
企業がSMS認証を導入し、安定稼働させるためのポイント
ユーザーがスムーズに認証を進められるかどうかは、企業側のSMS送信環境や運用体制にも大きく左右されます。送信遅延や未達が発生すると、ユーザー側に手間をかけさせるだけではなく、サービス利用の離脱や問い合わせ増加につながる可能性もあります。
企業がSMS認証を安定稼働させるために特に重要なのが、SMS送信サービスを適切に選び、導入することです。
配信品質や接続方式、サポート体制などはサービスごとに異なり、選定次第で認証SMSの到達率や安定性は大きく変わります。
ここでは、SMS認証の導入・安定稼働に向けて企業が押さえておくべきポイントを紹介します。
送信元番号の設定・明記しておく
前述したとおり、SMSの送信元番号が適切に設定されていない場合、キャリア側で迷惑SMSと判断されやすく、到達率が低下することがあります。番号の形式が不正確だったり、毎回異なる番号で送信されると、ユーザー側でも不審に感じて開封率が下がる原因になります。
そのため、企業はあらかじめ送信元番号を設定し、Webページやログイン画面などに認証コードが送信される送信元番号を明記しておくことで、ユーザーの安心感が高まり、受信拒否や誤認防止にもつながります。
API連携のしやすさ
SMS認証を安定して運用するためには、既存のシステムやサービスとスムーズに連携できるAPIが提供されているかが重要なポイントです。
実装が複雑だったり、仕様が分かりにくいAPIを利用すると、認証処理の不具合や開発・運用負荷の増加につながります。
将来的な運用を見据えて、自社システムと連携しやすいサービスを選ぶことが望ましいでしょう。
送信処理能力・サーバー稼働率を確認する
SMS認証はユーザーが操作を行うと即時に連動するため、送信処理能力やサーバーの安定稼働が非常に重要です。
アクセス集中時でも遅延なく配信できるか、稼働率や障害発生時の対応方針が明示されているかを事前に確認しておく必要があります。
安定した基盤を持つSMSサービスを選ぶことで、送信遅延や未達によるユーザー離脱のリスクを抑えられます。
セキュリティ面の対策
SMS認証は本人確認や不正防止といったセキュリティ強化を目的としているため、SMSサービス側のセキュリティ対策が十分に講じられているかも欠かせないポイントです。
通信の暗号化や認証コードの有効期限設定など、不正利用を防ぐ仕組みが整っているサービスを選定することが重要です。
また、個人情報を扱う以上、情報セキュリティに関する認証や社内体制が整っているかも確認しておくと安心です。
サポート体制・導入実績
万が一、配信トラブルや設定不備が発生した場合に、迅速に相談・対応できるサポート体制が整っているかという点もポイントとなります。
日本語での問い合わせ対応が可能か、障害時の連絡フローが明確かといった点は、事前に確認しておきたいポイントです。
加えて、導入実績や利用企業の規模・業種を見ることで、そのSMSサービスが安定して運用されてきたかどうかの判断材料になります。
まとめ
SMS認証で認証コードが届かない原因は、ユーザー側の設定や環境、企業側の体制のどちらにも存在します。受信設定の見直しや端末環境の確認を行うことで、多くのトラブルはユーザー自身で解消できますし、同時に、企業側が国内SMS送信サービスの利用、送信元番号の適切な管理、安定した運用体制を整えるといった基本を徹底することで、認証コードの到達率は大きく改善します。
ユーザーと企業がそれぞれの視点で対処することで、より安心で確実な認証が実現できるようになります。









