近年、デジタル技術の進化に伴い、不動産取引の手続きも大きく変化しています。
その中で注目されているのが「IT重説」です。
本コラムでは、IT重説の概要から利用状況、導入のメリット、必要な環境整備まで詳しく解説していきます。
目次
IT重説とは
IT重説(ITによる重要事項説明)とは、不動産取引における重要事項説明を対面ではなく、オンラインで行うことを指します。
これにより、従来の対面での説明と同様の法的効力を持ちながら、時間や場所にとらわれない柔軟な対応が可能となります。
現在では賃貸取引のみならず売買取引においても認められ、国土交通省からIT重説に関するマニュアルが発表されています。
IT重説が認められた背景
IT重説が認められた背景には、デジタル技術の発展のほか、社会のニーズの変化があります。
遠方に住む方にとって、対面での説明が難しいケースも珍しくないため、効率的で利便性の高い手続き方法が求められるようになりました。
2017年には、国土交通省が実験を行い、その有効性が確認されたことで正式に導入が進められました。
IT重説の利用状況
現在のIT重説の普及状況は、不動産賃貸業で全体の約13%。不動産売買業で全体の約5%ほどです。
新型コロナウイルスの影響で、リモートワークやオンライン手続きの需要が急増したこともあり増加し続けてはいますが、全国的な普及はこれからと言えます。
参照:令和4年2月 国土交通省 不動産・建設経済局 不動産業課 「IT重説等の実施状況と今後の対応について」
IT重説導入のメリット
IT重説のメリットは以下のようなことが挙げられます。
・時間とコストの削減
顧客と担当者が物理的に会う必要がないため、移動時間や交通費を削減できます。
特に遠方に住む方にとって、負担を大幅に軽減できます。
・柔軟なスケジュール対応
顧客の都合に合わせた柔軟なスケジュール調整が可能です。
・契約者本人に対して説明できる
直接来店が難しい場合でも、オンラインで契約者本人に説明が可能です。
例えば、新型コロナウイルスなどの感染症や突然の病気や怪我などによる突発的な時間的ロスのリスクを減らせます。
・リラックスした環境で重説を受けられる
一般的に重要事項説明は、長時間にわたるケースが多いです。
そのため対面の場合顧客が気疲れすることが多いですが、オンラインであれば自宅に居ながらリラックスした環境で説明が受けられます。
上記のように導入側にも顧客にもメリットが大きいことが特徴です。
ただし全面的にIT重説に切り替えることも現実的には難しく、顧客が求める要望などに対応できるかどうかが導入のポイントとなります。
IT重説を導入するにあたり必要なこと(遵守・留意事項)
不動産業者はIT重説を行うために、対応必須である「遵守事項」とトラブル防止の観点から可能な限り対応することが望ましい「留意事項」を守る必要があります。
①IT環境及び意向の確認
【遵守事項】
・内容を十分に理解できる程度に、映像を視認でき、かつ、音声を聞き取ることができるとともに双方向でやりとりできるIT環境の用意
・IT重説実施について、相手方への意向確認及び承諾を得る
【留意事項】
・相手方のIT環境の事前確認
・相手方への意向の確認方法に注意する(記録として残す)
②重要事項説明書の事前送付(電磁的方法による提供も可)
【遵守事項】
・重要事項説明書を相手方へ事前送付する
【留意事項】
・重要事項説明書の内容を理解してもらうための工夫(資料番号の付与、付箋・マーカーでの強調など)
・事前に重要事項説明書を読んでおくことを推奨、また送付から一定期間経過後にIT重説を実施する
③説明開始前に相手方にIT環境が整っているか確認
【遵守事項】
・IT重説実施前に相手方のIT環境が整っていることを確認
④宅地建物取引士によるITを活用した重要事項説明
【遵守事項】
・宅建士証の提示後、相手方に表示されている宅建士証を読み上げてもらう
・IT重説の中断(映像の視認や音声の聞き取りに支障が生じた場合)
【留意事項】
・内容を理解してもらうための工夫(画面共有機能を用いる)
・録画、録音により記録を残す
⑤機器トラブル等が解消しない場合のIT重説の中止
【遵守事項】
・IT重説の中止(映像の視認や音声の聞き取りに支障が生じ、原因の解消が困難な場合)
⑥その他
【遵守事項】
・契約の相手方が契約当事者本人(代理人含む)であることの確認 ※売買取引に限る
【留意事項】
・取引物件の内覧
・契約の相手方が契約当事者本人(代理人含む)であることの確認 ※売買取引を除く
参照:令和4年2月 国土交通省 不動産・建設経済局 不動産業課 「IT重説等の実施状況と今後の対応について」
IT重説の流れ
IT重説の一般的な流れは下記のような手順です。先に説明した「遵守事項」と「留意事項」に沿った流れとなります。
①事前準備
・IT環境の確認
・IT重説実施の意向確認
・重要事項説明書を相手方へ送付
②IT重説実施前の対応
・IT重説実施前にIT環境が整っているか確認
③IT重説実施中の対応
・宅建士証の提示
・IT重説の中断(映像の視認や音声の聞き取りに支障が生じた場合)
参照:令和4年2月 国土交通省 不動産・建設経済局 不動産業課 「IT重説等の実施状況と今後の対応について」
IT環境をどうするか
IT重説を成功させるためには、適切なIT環境の整備が欠かせません。以下の点に留意する必要があります。
①安定したインターネット環境
②高解像度のカメラやマイク、スピーカーを備えたパソコンの利用
③セキュリティ対策等がしっかりしているビデオ通話が可能なツールなどの選択
特に上記の③では、下記表のような種類のツールが使い分けられております。
上記3つのツールは各々のニーズに応じた特徴やメリットがある一方で、接続する相手方にとって、アプリケーションの事前インストールや環境設定が必要になることがしばしば課題に挙げられます。
IT重説をするためのIT環境にはLINXChatがオススメです
先に説明した3つのツールのほかに、特定の業界に特化したビデオ通話サービスもあります。
弊社が提供しているビデオ通話サービス「LINXChat」もその中の1つに数えられます。
このサービスは、パソコンやスマートフォンの標準ブラウザからビデオ通話が簡単にできることが特徴です。
他のビデオ通話のツールに対して、アプリケーションのインストールは不要、また通知にSMS(ショートメッセージ)を使うため、
携帯電話番号の情報があれば簡単にビデオ通話を開始できることが最大のメリットとなります。
IT重説を実施する相手方の手間や心理的な抵抗感を改善するためには、こういった簡単に接続することができるビデオ通話サービスを検討することも重要です。
IT重説についてのまとめ
IT重説は、時間とコストの削減や柔軟な対応の実現といったメリットがある一方で、適切な環境整備や顧客対応が求められます。
今後、さらに普及が進むことが予想される中で、しっかりとした準備と対応が重要です。
弊社が提供しているビデオ通話サービス「LINXChat」は、無料でお試しができるトライアル環境を提供しております。
今後、IT重説導入を検討される場合は是非一度「LINXChat」をお試しただき、IT重説実施における環境整備を検討してはいかがでしょうか。