事業を広げ、拡大していくためには売上が必要です。そして、売上を増やすためには、顧客のニーズを分析し、マーケティング施策に反映することが欠かせません。
では、どのような手法で顧客分析を行えば良いのでしょうか?その必要性と、おもな分析方法をご紹介します。
顧客分析は、なぜ必要なのか?
顧客分析とは、自社商品の顧客がどのような属性を持っているのか、そしてどのようなプロセスで購買に至ったのかを分析することを指します。ただし、目的は分析そのものではなく、次のようなアクションに活用するために行われます。
効率的な販促活動と営業戦略
顧客の属性がわかれば、それをターゲット層として設定することで、効率的な販促活動ができます。また、購買行動を分析すれば、「どの段階でどのようなアプローチをかけるべきか」という営業戦略が立てられ、マーケティング全般で有効活用できます。
施策の実施結果を分析し、次の施策へフィードバックする
購買行動の各段階で実施してきた施策が成功したかどうかは、顧客分析によって評価することができます。さらに、単なる成功・失敗だけでなく、「なぜ失敗したのか」「効果をより高める余地はあるのか」という部分まで分析していくと、表面化していなかった顧客ニーズや行動パターンを掘り起こすこともでき、次の施策に活かすことができます。
顧客の現状の把握
施策の成功・失敗は、施策そのものの問題ではなく、顧客側の事情によるケースもあります。ですから、クローズに至らなかったケースに注目し、その共通項を分析していくことで、「購買に至りにくい顧客像」を把握することができます。つまり、顧客の現状を知り、そこにどうアプローチするか、対策を練るための材料にできるのです。
顧客分析の代表的な手法
顧客分析のやり方には、いくつか種類があります。企業向けか個人向けか、何を知るために分析するのかなど、状況によってどの手法が最適なのかは変わってきますが、代表的なものを挙げてみましょう。
デシル分析
デシル分析は、顧客を購入額の多い順に並べて全体を10等分し、各グループの合計購入額を算出する分析手段です。これで、売上全体に対する各グループの購入比率や売上高構成比がわかります。
結果として、貢献度の高いグループの顧客が重要視すべきことがわかりますから、それをターゲットとすることを前提に販促戦略を立てることができるのです。
RFM分析
RFM分析は、直近の購入日(=R)、購買頻度(=F)、購入金額(=M)の3つの切り口で顧客を分類する分析手法です。Rが最近でFが高く、Mが高い顧客に、それぞれ高いポイントをつけます。そして、それぞれのポイントのバランスによって、顧客のグループ分けを行います。
例えば、Fのポイントが高ければ「お得意さん」といえますし、Fが低くてもRやMが高ければ売上に貢献してくれる優良顧客ということができます。
セグメンテーション分析
セグメンテーション分析は、購入履歴や購入頻度などの類似性で顧客をセグメント化し、行動を分析していく手法です。この方法では、「分析によって何を知りたいのか」を明確にしておくことで、どのようにセグメント化をすればいいかがわかります。高度な分析はできませんが、比較的簡単にできる手法ですから、顧客分析のビギナーでも扱いやすいでしょう。
CTB分析
CTB分析は、コンシューマー向けの商品、それもアパレルや食品など、多くの選択肢がある場合に使われる方法です。C=Category(分類)、T=Taste(デザイン、サイズなど)、B=Brand(ブランド)の3つの指標を使って顧客をカテゴライズし、それぞれのグループが持つ趣味嗜好に合った販売戦略を立てることができます。
トレンド分析
トレンド分析は、アンケートの結果や問い合わせの内容などから、顧客層の傾向を導き出し、販売戦略に反映させる手法です。おもにネット上を行き交う情報…例えば、SNSへの投稿や口コミ、ブログ記事などを対象として分析をかけ、リアルタイムの傾向と今後の予測を立てるというやり方が主流です。
分析には、Google アナリティクスをはじめとするデジタル分析ツールが必要ですが、ユーザーの本音に近いコメントが得られ、即時性の高い分析が可能です。
的確な戦略は精密な分析があってこそ
顧客分析は、販促の効果を高め売上の向上に貢献する重要な手段です。しかし、その効果を高めるためには、必要な情報を見極めて分析をかけ、その結果を確実に施策に活かすことが不可欠です。また、正確な分析を行うためには、精密な顧客情報が大前提ですし、各種のデジタルツールの力を借りることも必要でしょう。
いずれにせよ、難しく見える顧客分析も、慣れてくればそのポイントがつかめます。精密な分析で的確な戦略を立て、実績の向上に結び付けてください。