デジタル全盛の現在でも、第一線で広く使われる電話営業。古典的ともいえる営業の手法ですが、今も使われ続けているからには、それだけのメリットがあるのです。電話営業の優位性や成功しやすくする工夫など、電話営業の質と精度を高める方法についてご紹介します。
電話営業が今も使われている理由
固定電話が普及したころに、それまで一般的だった訪問営業よりも効率が良いとして広がったのが電話営業です。かなり以前からある営業手法ですが、今も新規営業の主軸として使われていることには理由があります。
例えば、電話営業なら、見込み顧客と直接話せることが挙げられます。ダイレクトメールや電子メールでは、開封もされずに終わってしまうことが多いものですが、電話なら多少なりとも相手と言葉を交わせます。つまり、自社の商材を知らない潜在顧客に対しても、その内容や魅力を伝える貴重な機会となるのです。
もちろん、顔の見えない電話で相手に安心感を与え、こちらの話を聞いてもらうためには、コミュニケーション能力や営業スキルが必要です。そのため、苦手意識を持つ人も多いのですが、ポイントを押さえておけば、意外とスムーズにこなせるようになるものです。そして、相手の反応を見ながら、興味を持ってもらえるよう会話を変化させていくことで、契約への足掛かりをつかむことができるのです。
また、最初の会話で見込みがあるかないかが判断できれば、さらに突っ込んだ話をするか、あるいは潔くあきらめるか、適確なアクションがとれることも理由のひとつといえるでしょう。
電話営業に欠かせない3つの要素
電話営業を成功させるには、まず事前の準備をしっかりと行い、充実した会話を行うことが重要です。具体的には、「架電リスト」「スクリプト」「会話力」の3つの要素が必要です。
1 これがなければ始まらない「架電リスト」
まずは、営業先となる企業の電話番号リストが必要となります。架電リストは、名簿業者から購入することもできますが、テレアポ専門の業者では、架電リストを用意しているところも多いようです。いずれにせよ、ターゲットとなりうる業種・規模の企業を絞り込んでおくことは必須です。
2 常に練り上げておきたい「スクリプト」
スクリプトとは、電話営業における台本です。どんな順序で何を話すか、相手の反応に合わせてどう答えるかを規定して作ります。これは、扱う商材の特性などによって少しずつ違ってきますが、常にブラッシュアップすることが必須となります。
まず、基本となるスクリプトをいくつか用意し、実際に使ってみることも大切です。通話記録を見ながら、会話がずれてしまう部分や、答えに窮する部分などを改善していき、最も効果的なスクリプトを作りましょう。そして、そのスクリプトをベースに、さらに優れたものへと練り上げていくのです。
3 結果を大きく左右する「会話力」
会話力は、非常に幅広い要素を含み、簡単に言い表すことができない能力ですが、具体的な例としては、話し方があります。声のトーンを少し高くし、相手が聞き取りやすいようにゆっくり話しましょう。また、たとえ電話営業が苦手でも、自信を持って話すことを心掛けてください。頼りなさそうな話しぶりでは、相手も不安になってしまいます。
電話営業を成功に導くポイント
電話営業を成功させるおもなポイントは、相手先の企業を知っておくこと、ゴールまでの流れを意識すること、そして相手の話から情報を引き出すことです。それぞれ、詳しく見ていきましょう。
相手の状況を知っておけば話が早い
架電リストに並んだ企業名と電話番号だけでは、その会社の内情まではわかりません。ウェブサイトを確認するなどして、企業の規模や事業内容を調べておきましょう。そうすることで、相手企業の状況やどんなところに課題を抱えているかを推察することができ、自社の商材がどのように役立つかを説明することができます。
ゴールまでの流れを意識して会話する
電話営業は、訪問のアポイントを得ることが当面のゴールです。もちろん、商材の魅力やそれを使うメリットを十分伝えることも大切ですが、相手に興味を持ってもらい、「会って詳しい話を聞きたい」と思わせることが目的です。
先方が疑問や不安を感じているようなら、「よくあるご質問とその回答をとりまとめて、ご説明に伺います」という形でアポイントをもらう方法もいいでしょう。
情報を引き出すには相手の話を聞く
電話営業では、つい気持ちが先走り、自分のペースで話してしまいがちです。しかし、相手の話を聞き、情報を引き出すことも重要です。
人は、自分の話を聞いてくれる人に好感を持つものです。また、話の中から相手が抱えている課題を引き出すことができれば、「当社のサービスをこのように使って、こうした成果を上げた例があります」などと、似たような実例を出して説明することもできるのです。
FAX DMで電話営業をサポートする
訪問営業にしろ、電話営業にしろ、単体で行うよりも複数の手法を組み合わせたほうが、より高い効果が期待できます。特に、相性がいいのがFAX DMです。
情報量の多いFAX DMは、手が空いた時間にじっくり見ることができますし、電話のように聞き漏れや聞き間違いがありません。つまり、冷静かつ正確に、情報を吟味することができます。販売実績や導入事例、キャンペーン情報、詳しい機能、スペックなど、短時間の通話では伝えきれない情報まで届けることができるのです。
まず、FAX DMを配信しておき、その後に「FAXで送らせていただきました◯◯の件で、お電話を差し上げました」と電話を入れれば、自社や商材を説明する時間をグッと短縮でき、電話営業の時間効率を高めることができます。
電話営業は準備と工夫、そして「慣れ」
電話営業は、顔の見えない相手と話すという難しさがあります。そのため、苦手意識を持っている人もいるようです。しかし、事前にきちんと準備しておき、FAX DMを併用するなどの工夫をすれば、成功率を高めることができます。あとは場数を踏めば、相手に合わせた適切な対応をとることができるようになります。
どんなに優秀な営業職も、最初はビギナーです。準備と工夫と慣れを積み重ね、スタープレイヤーへの階段を上っていきましょう。