既存顧客へのケアと異なり、新規営業には時間も労力も必要です。ですが、時間も労力も「コスト」ですから、できるだけ低く抑えたいと考えるのは当然のことです。 そこで、新規営業のコストを抑える方法や、そのために必要なツールについて紹介しましょう。
新規営業のコストパフォーマンスを高めよう
営業の分野でよくいわれる言葉に「1:5の法則」というものがあります。これは、既存顧客と新規顧客との販売コストの比率で、「新規顧客への販売には既存顧客の5倍のコストがかかる」という意味です。 すでに、自社製品を購入した既存顧客は関係性も出来上がっていますので、新製品や新たなサービスの登場に合わせて販促活動を行えば、話も聞いてもらえるでしょうし、成約してくれる期待値も高いです。 しかし、新規顧客の場合は、新たに関係を構築していかなければなりません。そのため、既存顧客よりも5倍のコストがかかるといわれているのです。
新規営業にかかるコストを抑えるためには
既存のお客様がいつまでも自社のお客様でいてくれるかどうかは未知数ですから、常に新規開拓は欠かせません。新規営業のコストパフォーマンスを高めれば、利益率を上げられるはずです。では、具体的にどのような方法をとれば良いのでしょうか? ここでいう「コスト」とは、通信費、交通費などの直接的な経費だけではありません。営業職が電話をかけたり訪問したりした、時間と労力も含まれます。どちらかといえば、後者のほうが大きいでしょう。コストパフォーマンスを高めるためには、コストに関して複数の面から検討していくことが大切です。
無駄な時間をカットして効率を高める
まず、営業職が浪費する時間をカットすることが重要です。これは、営業職一人ひとりが、一日の行動を省みることですぐに判断がつくでしょう。例えば、外回りで移動時間やルートに無駄がないか、アポイントの待ち時間を無駄に消費していないかなどを細かくチェックしてみると、時間を浪費していることがわかるかもしれません。
また、営業職自身が作業する必要のない業務は、アシスタントか外部に委託する方法もあります。委託にコストがかかっても、営業に専念して成果を高めることができれば十分効率的なのです。 時間は新たに作り出すことができないので、有効活用することが営業のコストパフォーマンスを高める第一歩だと心得ましょう。
直接的なコストを見直してみる
新規営業にかかる直接的なコストといえば、やはり突出しているのがファーストコンタクトにかかる費用です。新規営業には、電話営業、飛び込み、DM(ダイレクトメール)などさまざまな手法があり、コスト面ではかなりの開きがあります。 例えば、新規顧客1,000件にアプローチするコストは、DMでは約10万円に、電話営業では約50万円に、訪問営業では約200万円になると思われます(日本テレネット調べ)。
ですが、扱う商材や営業先の業種などによって、どれがベストかは変わってきますので、コスト面ばかり見てはいけません。いくつかの方法を試してみて、パフォーマンスの良いやり方を選ぶ、あるいは複数の手法を組み合わせて使うなどすれば、効率を高めることができます。
- 電話営業
電話営業なら、リアルタイムで受け答えができるので、営業相手の疑問や不安に的確に答えられるというメリットがあります。しかし、営業職自身が行う場合、時間と労力という点で大きなコストがかかります。また、話をする前に電話を切られてしまうことも多く、精神的にもダメージを受けやすいというデメリットがあります。 営業先のリストが大量にあるなら、外部に委託したほうが効率は良いかもしれません。
- 飛び込み営業
相手先によりますが、飛び込み営業は電話営業に比べて、断わられにくいという点はメリットでしょう。たとえ話を聞いてもらえなくても、資料を置いてくることができます。反面、結果が出なければコストだけが膨らみますから、効率が良いとはいえません。 また、近年ではオフィスビルのセキュリティがきびしくなっていますから、アポイントなしでは「受付にもたどり着けない」こともあります。
- メール
メールは、すぐに発信できるスピード感と、低コストが最大のメリットです。また、商品サイトへのリンクを張っておけば、画像なども含めたより多くの情報を伝えることができます。 ただし、フィッシング詐欺などの横行によって見知らぬ相手からのメールは最も警戒されるようになっていますので、開封されずに削除されることもあります。
- DM
DMは、狙った相手に印刷物や小冊子などの資料を届けることができますので、多くの情報を相手に伝えるには良い方法です。 デメリットとしては、資料を作って発送するまでに手間とコストがかかることです。また、郵送する相手の数だけ送料もかかりますから、ハイコストの手法といえます。また、資料作成に時間がかかれば、タイミングを逃してしまう可能性もあります。
- FAXDM
日本テレネットを含めたFAXDMの専門業者に依頼し、伝えたい情報をFAXで一斉送信します。DMには及びませんが、必要な情報量を送信することができます。依頼から送信までの時間もかからず、タイミングを逃さないのもメリットです。 また、前述した新規顧客1,000件にアプローチするコストは、FAXDMで約20,000円と安いため、ファーストコンタクトに使用するツールとしても使えます。例えば、まずはFAXDMを送信しておき、「お送りした資料ですが…」と、あとでフォローの電話営業をかけるのも効果的でしょう。
自社に合ったやり方でコストパフォーマンスの向上を
新規営業のコストパフォーマンスを高めるには、営業職自身の時間と労力のほか、使用する営業ツールからのアプローチが考えられます。その両面から、かかったコストを計算して獲得できた顧客数で割れば、成約1件あたりのコストを算出できます。 この数値を定期的にチェックしながら、行動管理やツールの選択を行っていくことで、コストパフォーマンスの高い、「新規営業に向いたスタイル」を構築することができるでしょう。