物やサービスの販売をする方にとって、意識しておきたい「マーケティング」。しかし、実際の現場では、マーケティングの基本を知らないまま、日々の営業業務にあたっている方もいるのが実情です。
そこで、今さら人には聞きにくい、マーケティングの基本についてご紹介しましょう。
マーケティングとはそもそも何か
マーケティングという言葉は、さまざまな意味を含んでいて、一般的にはとても広い意味で使われています。しかし、商品やサービスを提供する業界的には、公益社団法人日本マーケティング協会の定義が最適といえます。
日本マーケティング協会では、マーケティングを「企業および他の組織がグローバルな視野に立ち、顧客との相互理解を得ながら、公正な競争を通じて行う市場創造のための総合的活動」と定義付けています。少々堅苦しい表現ですが、要約すると「市場と顧客のニーズに応える商品やサービスを、公正な競争のもとで適切に提供するためのあらゆる活動」ということになるでしょう。
物もサービスもあふれている現代では、市場が求めている商品、さらには競合他社の商品と明確に差別化された商品を作り、広く告知していくことが欠かせません。そこに、マーケティングの大きな意味があるのです。
マーケティングを成功させるために必要な4つの要素
マーケティング活動には多くの手法があります。しかし、その根源にあるのは、ユーザーに商品を「知ってもらい」「使ってもらい」「喜んでもらう」ということに尽きます。そのためには、次の4つのポイントを意識することが大切です。
1 媒体ごとの施策の役割を見極める
マーケティングの領域では、多くの媒体を使い分けることになります。ですが、各媒体はそれぞれに特性が異なるため、マーケティングの目的に合わせて、媒体の役割を変える必要があります。
例えば、新聞やテレビなどを利用したマス広告は、まだその商品を知らない層に、商品を「知ってもらう」ためのものです。また、ウェブ媒体では、商品についてもっと知りたいという層に「理解してもらう」ために使えます。
こうした媒体ごとの特性の違いを見極めた上で、どの段階にあるどのような層にどの媒体でアプローチするかを選別し、戦略を立てていくことが大切です。
2 ターゲット層を明確にする
自社商品の顧客となりうるターゲット層がどのような人や企業なのかといったイメージモデルを考えておくことは、マーケティングの施策を練る上で欠かせない作業です。
企業向けの商材であれば、「自社商品を必要とするのはどのような企業で、どのような価値を提供できるか」ということを想定しておけば、ニーズのないところに営業をかけることはなくなりますし、成約率もアップするでしょう。
反対に、ターゲットの設定が曖昧なままでは、施策の効果が期待どおりにいかない可能性があります。部署内でのディスカッションを重ね、ターゲットを明確にしていきましょう。
3 ゴールまでのストーリーを設定し、回答を用意する
マーケティング施策を行う最終目標は、顧客が商品を購入することです。そこで、ゴールまでのストーリーを設定しましょう。商品を認知し、理解し、試用してメリットに気付いてもらい、最終的に購入してもらうというストーリーを設定し、それぞれの段階で適切なマーケティング施策を用意しておくことは、クローズ率を高めるために大きく役立ちます。
例えば、初期の段階では「その商品で何ができるのか」が、顧客にとって大きな興味の対象でしょうし、終盤になれば「デメリットはないのか」という不安があるかもしれません。そこで、そのようなタイミングごとに適切な回答を用意してあげれば、クローズへと進めていくことができるのです。
4 顧客の視点で施策を再確認する
マーケティングにおいては、常に顧客目線でチェックし、評価することが不可欠です。これは、簡単なようでなかなか難しいことです。例えば、ウェブサイトの構成やFAXDMの紙面デザイン、広告コピーなど、ターゲット層に刺さるはずだと考えて作ったツールが、実は見当違いのものになっていたケースも、よくあることです。
情報の発信側にアピールしたいことがあったとしても、受信側がそれを求めていなければミスマッチが起こります。ですから、常にユーザーの視点でマーケティング施策をチェックするように心掛けましょう。
基本を知れば、マーケティングは難しくない
マーケティングは幅広い意味を持つだけに、「難しい」と思っている方も多いようです。確かに単純なものではありませんが、必要以上に難しく考えることもありません。
「誰に」「どんな価値を」「どのように」届けるのかが、シンプルなマーケティングの基本だと考えれば、自由な発想で施策を考えていけるのではないでしょうか。