商材が何であれ、売上の維持と向上のためには販促活動は欠かせません。ですが、消費者により強く購買意識を持たせるための販促の方法はさまざまです。
ここでは費用対効果という点から、販促の方法を考えてみます。
販促の概念
販促(販売促進)とは、売り手と買い手のコミュニケーションを指しており、商材の告知から個別のセールスまで、幅広い範囲を含みます。つまり、自社商品を市場に認知させ、購入へと導いていくことが、販促の目的です。しかし、一般的にはイベントや店頭プロモーションなど、いわゆるSP(サービスプロモーション)を指すことが多いでしょう。
販促を行う場合は、「どのような方法で、どんな媒体で行うか」という部分がポイントになります。その組合わせはさまざまですが、方法としては「サンプル試用」「プレミアム付加」「限定販売・限定プライス」といったものが、よく使われます。プロモーションを行う媒体や場所もさまざまで、店頭で行ったり、SNSを使ったりするだけでなく、ポスティングや新聞の折込広告、ダイレクトメール、FAX DMなども使われます。
販促の費用対効果を考えてみる
販促を行う場合、費用対効果をしっかり予測しておくことが大切です。最小のコストで最大限の効果を上げることが目標になりますが、最終的に商品がどれほど売れるかはお客様次第です。販促の効果を予測するためには、ある程度の経験も必要ですが、経験がなくても何らかの販促を行うのであれば、常に数字を意識しておく必要があります。
例えば、新製品の告知チラシとサービスチケットをセットにした、ダイレクトメールを発送するとしましょう。かかるコストは、封筒代、チラシとチケットの制作費、発送件数分の送料、封入・発送作業の外注費用などです。この総計が40万円である場合、40万円を回収するためには、商品をどれほど販売すればいいのかを考えます。もし、商品1つの粗利が50,000円であれば、8個販売できれば、その時点で販促費はペイでき、9個目からは粗利がそのまま利益になる計算です。
なお、1つの商品を販売するためにかかった費用を「CPO(Cost per Order)」といいますが、このCPOが小さいほど費用対効果が高まります。つまり、販促での費用対効果は「費用がペイできるラインはどこか」を割り出し、その上で「CPOはどれくらいになるか」を予測してから行うといいでしょう。
販促の方法と媒体によるコスト感
では次に、販促方法の違いによるコスト感を考えてみましょう。
方法1 サンプル試用
サンプル商品の提供や、クラウドサービスの無料試用などで、実際に商材を使ってもらう、訴求力の強い方法です。提供する商品のコストがかかりますし、サンプル商品を別途制作するなどすれば、さらに追加コストが発生します。
方法2 プレミアム付加
プラスアルファの特典をセットすることで、購買を促します。本商品に関連する魅力的なプレミアムであれば購買意欲を刺激できますが、コストをかけすぎるとCPOを押し上げてしまいます。
方法3 限定販売・限定プライス
「期間限定」や「今だけ価格」を設定すると、消費者の購買意欲が高まります。一度買ってもらえれば、その後、リピートが期待できます。しかし、売価を下げれば利益は落ちますので、支出というコストが出ない代わりに、収入が減ることを念頭にコスト感を考えてなければいけません。
媒体の違いによる費用対効果の差
次に、使用する媒体・場所の違いによる、費用対効果を見ていきましょう。
リアル店舗
店頭でのサンプル配布などは、広く行われている販促方法です。個別に販促場所を借りてのイベントでなければ、サンプル商品以外の追加費用はほとんどかかりません。
ただし、来店したお客様にしかアピールできませんので、ほかの媒体での事前告知は必要でしょう。
SNS・ウェブ
SNSやウェブでの販促は、費用対効果の高い方法です。若い世代を対象とした商品なら、ネットでの販促は欠くことのできないものになっています。
ただし、効果を得るには日頃から頻繁に情報発信をしておくことが前提ですし、魅力的なウェブコンテンツがなければ、人は集まってくれません。そこに、コストやアイディアは必要です。
ポスティング・新聞折込広告
ポスティングや新聞折込広告は、特定エリアに集中して販促をかけるために適した方法のひとつです。
しかし、反応率はあまり高くなく、費用対効果という点では難しい面があります。
ダイレクトメール
ダイレクトメールは、十分な情報量を盛り込むことができ、サンプル商品やクーポンの同封もできるので、訴求力は高い方法です。
しかし、送付物の準備に時間がかかることや、送料も含めてコストが高いことなどから、事前の正確なCPO予測が必要です。
FAX DM
FAX DMとは、FAXによるダイレクトメールのことです。大量の送信先に低コストで一斉配信することができますので、BtoBでの販促媒体としては、コストパフォーマンスの高い方法です。
十分な情報を掲載できることや送信先で必ず人目にふれるといったメリットも多く、費用対効果の事前予測をつけやすい方法でもあります。
費用対効果は総合的に判断しよう
このように、販促はやり方次第で費用対効果が異なります。ですが、いずれの方法も単体で使われるのではなく、いくつかの方法を組み合わせていることが多いといえます。
ですから、販促プラン全体を見て、必要な手間やコスト、期待できる結果について予測を立てることが重要でしょう。お金をかけるべき部分にはかけ、抑えるべき部分は低コストで実践できる方法を活用する。そうしたバランス感覚が、販促を成功させるために必要な要素なのです。