携帯電話はいつでもどこでも通話ができる非常に便利な連絡手段ですが、運転中や移動中など電話に出られないタイミングもあります。メールを送ってもなかなか見てもらえず、結局もう一度電話をする、という場面はありませんか?
今回は、熊本県でタクシーを中心に、様々な業務を運営されている熊本タクシー株式会社の倉岡代表と叶様に、同社の妊婦さん向けサービス「陣痛タクシー(マタニティタクシー)」の運用で、今まで電話で行ってきた連絡をどのようにして効率化したのかをお聞きしました。
目次
熊本タクシー様の取り組み
「熊タク陣痛タクシー」というサービス
― まずは、御社のお取り組みについてお教えいただけますか
我々は熊本県でタクシーを運営している会社です。タクシーの配車サービスの中で、妊婦さん向けの「熊タク陣痛タクシー」というサービスを展開しています。
― 「熊タク陣痛タクシー」とはどのようなサービスなのでしょうか
あまり知られていないと思いますが、お産のときには、よほどのことがない限り救急車は利用できません。そのため、自宅で陣痛が起こったときは自分でタクシーを呼んで、病院まで向かうケースが多くあります。しかし、陣痛が起こるタイミングはわかりません。その場でタクシーを呼んでも時間がかかる場合があります。また、来てくれても運転手が妊婦さんへの対応方法が分かっていないと不安になります。その不安をカバーするサービスが「熊タク陣痛タクシー」です。
― 実際に通常のタクシーとは何が違うのでしょう
「熊タク陣痛タクシー」では、あらかじめお迎えに上がる場所、かかりつけの病院、出産予定日などの情報を登録していただいています。登録した妊婦さんに陣痛が起こったとき、指定の電話番号に電話をしていただければ、情報を持った状態でお迎えに上がることができます。
また、運転手も病院からの指導研修を受けた人を向かわせますので、妊婦さんも安心して待つことができるサービスです。
― なるほど、事前に登録さえしておけばいつ陣痛が起こっても安心というわけですね
そうですね。当社は熊本市内を営業エリアとしているのですが、年間6,000~7,000人くらいの出生数があります。そのうち、約3割にあたる2,000人ほどの妊婦さんが当社の「熊タク陣痛タクシー」に登録していただいています。サービス開始当初は産婦人科さんへのパンフレットの配布などで宣伝していましたが、最近は口コミで浸透してきていますね。
― 毎年2,000人の妊婦さんに毎年安心を与えているということですね
はい、始めたのが2013年ですが、これまで17,503人の方に登録していただいています(※2021年12月25日現在→公開日に更新)
必ず必要な登録情報の確認
― 「熊タク陣痛タクシー」の本人確認などはどのようにして行っているのでしょうか。
このような情報は間違いがあるといけませんので、必ず登録者本人への確認が必要です。今までは電話で登録内容や迎車・回送料金の確認をしていました。しかし、登録した方が電話に出られない場合は、何度もかけ直したり、妊婦さんから折返しの電話があると対応しないといけなかったりと時間と手間がかかります。多い日には1日30件ほどの登録者へ電話をかけることもあり、実業務である配車業務への影響もありました。
電話連絡の課題をクリアするためには
電話に代わる運用を模索
― その課題はどのように解決したのでしょうか
メールやIVR(自動電話応答)、LINEなどのアプリなど、SMS(ショートメッセージ)の以外の方法も色々検討しましたが、携帯電話番号にメッセージを送るというシンプルな運用、かつ導入費用が安いという観点から、SMSで送ればいいのではと考えました。
SMS(ショートメッセージ)で携帯電話番号宛に登録通知を送信
― SMS(ショートメッセージ)を選んだ理由は何でしょうか
先程も申し上げましたが、このような情報は間違いがあるといけません。妊婦さんが登録した内容をそのまま送ることが必要ですし、もちろん送り間違いは厳禁です。SMS(ショートメッセージ)は携帯電話番号宛にメッセージを送る「一方通行」のサービスです。完了通知に返信は必要がないので、SMSが一番いいのではと考えました。
パソコンが苦手な人でも使えるような工夫
エクセルファイルで送信管理を実施
― では、登録内容からSMS送信までをどのように運用されているのでしょうか
この運用は、誰でも使えるものでないといけません。ゆえに私たちは現在、エクセルファイルを使って運用しています。まず、妊婦さんは当社のWebサイトにある「熊タク陣痛タクシーご登録フォーム」にアクセスし、ご自身の内容を登録します。そのデータを書き出し、送信用のエクセルファイルに登録します。登録したあとはマニュアル通りにデータをコピーし、SMS HaNaから送信すれば作業は完了です。極力複雑な作業にしたくないので送信結果も同じエクセルファイルで管理しています。
SMS HaNaを選んだ理由
簡単に使える送信画面
― たくさんあるSMS送信サービスから「SMS HaNa」を選んだ理由は何でしょうか
SMS送信サービスを選定する際、「SMS HaNa」を含めて4社ほど比較しましたが、ASP版(ブラウザ版)の画面操作が他社と比べて分かりやすいという印象でした。無線の担当者にはパソコンの操作があまり得意でない方もいます。その方も問題なく操作できるように、極力自動化したかったという部分も選んだポイントになりました。
差し込み機能で個別メッセージが送信できる
― その他に選んだ理由があれば教えてください。
また、送信メッセージの中に変数を設定でき、送信リストに差し込みできるのもよいと思います。先程も述べましたが、登録した方によって迎車・回送料金が違うため、同じメッセージを送ることはできません。そのため、メッセージ内への差し込み機能は必須でした。
SMS(ショートメッセージ)導入の効果
担当者の架電業務がなくなり、ペーパーレス化も
― SMS HaNaに切り替えた結果、業務にどのような効果がありましたか?
現在、登録内容の確認連絡はホームページへ登録した方はSMS(ショートメッセージ)か電話を選べるようにしていますが、95%以上の登録者がSMSを選択していただいています。その結果、担当者の架電業務がほぼなくなり、配車業務に専念できるようになりました。
また、電話連絡を希望する方が少なくなったため、連絡用に印刷していた帳票も紙を廃止した結果、業務のペーパーレス化にも繋がりました。
業務時間が5分の1に
- 業務時間の短縮にも繋がっていますか?
そうですね、SMS送信から配車システムへの入力作業も1回30分から45分程度で済むようになりました。今までの電話業務では1日2時間半ほどかかっていましたので、5分の1程度になっています
SMS送信の自動化も検討
APIの活用でより楽に
― 今後のSMS(ショートメッセージ)の活用方法を教えて下さい
今はエクセルで操作していますが、SMS HaNaはAPI連携も可能ですので、入力フォームとの連携を検討しています。ホームページから登録した時点で自動的にSMS送信まで行えるようなシステムを構築できれば担当者の負担もなくなりますし、登録者へも素早く届きます。
SMS(ショートメッセージ)で登録者の負担と社内運業務の負担軽減を実現した熊本タクシー様。手作業が必要な操作も「誰でも使えるように」を重視して工夫され、運用されているというお話が印象的でした。倉岡代表と叶様、ご協力いただき、ありがとうございました。
今回お話を聞いたお客様
熊本タクシー株式会社
所在地:熊本県熊本市中央区中央街4-28
URL https://www.kumataku.com/
※熊本タクシー様の「熊タク陣痛タクシー」は、熊本市、合志市、益城町、菊陽町、嘉島町にお住まいの方が対象のサービスです。